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なまり言葉が耳に残って離れない!方言だからこそ印象的なドラマの名セリフ

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なまり言葉が耳に残って離れない!方言だからこそ印象的なドラマの名セリフ

平昌冬季オリンピックではカーリング日本女子チームの「そだねー」という北海道なまりが、「かわいらしい」と大人気になりました。方言や地方特有の言葉には、標準語にはない独特の響きと、ぬくもりが感じられます。

放送中の大河ドラマ「西郷どん」では薩摩ことばが、3月に終了した「NHK連続テレビ小説 わろてんか」では京都弁が、登場人物のキャラクターと切り離せない個性の一部となっています。今回はそんなドラマの中でも、なまり言葉だからこそ印象に残った名セリフを振り返ってみましょう。

■連続テレビ小説は方言ドラマの宝庫

地方で製作されることの多い「NHK連続テレビ小説」は、地方独特の言葉を生かした方言ドラマの宝庫ともいえます。

山形の寒村を舞台に、テレビドラマ史上最高視聴率(62.9%)を記録した連続テレビ小説「おしん」(1983~1984年)は、初めて“方言指導”の担当者名がエンドロールにクレジットされた記念すべき作品です。

貧しく食べ物のない家族の口減らしに、奉公にだされる幼いおしん(小林綾子)。最上川を筏で下りながら家族に別れを告げようと、「かっちゃーん(母ちゃん)!」「とっちゃーん(父ちゃん)!」と何度も叫び続けるシーンは、いまだに語り継がれる名場面です。素朴で無垢な言葉が胸に突きささり、涙なしで見ることはできません。

「おしん」が方言ドラマの先駆けだとすれば、近年はセリフや言葉の面白さが「NHK連続テレビ小説」の魅力の1つになりつつあるようです。

関西弁の中でも大阪岸和田ことば(泉州弁)が取り上げられ、生き生きしたリズム感が画面に活力を与えた連続テレビ小説「カーネーション」(2011~2012年)も、そんな名作の1つ。ファッションデザイナー コシノ3姉妹の母・小篠綾子がモデルで、“女だから”という理由で大好きなだんじりに乗せてもらえない主人公・糸子(尾野真千子)が、初めてミシンと出会ったとき「だんじりや! 見つけてしもうた。あれ(ミシン)はうちが乗れるだんじりなんや」と叫ぶシーンは、彼女の運命の扉が開く感動のシーンでした。

■なまった言葉は、主人公のアイデンティティー

数ある方言ドラマの中でも、セリフの面白さにお茶の間が釘付けになったのが、宮藤官九郎脚本の連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)。ユーキャン新語・流行語大賞の「じぇじぇじぇ」を生み出したドラマです。

「じぇじぇじぇ」は物語の舞台である岩手県の一部地方で、びっくりした時に実際に使われる感嘆表現。この「じぇじぇじぇ」を頻発させる主人公・アキ(のん)は実は東京育ちで、高校の夏休みに母の実家の岩手に移ったという設定です。しかし、アキは岩手育ちであるかのように、ずっとなまった言葉を話します。

「第2部・東京編」ではアイドルを目指して東京に戻ったアキが、芸能プロデューサーの荒巻太一から「東京出身なのに、なんでなまってるんですか」と聞かれるシーンがありました。「最初はおばあちゃんや海女さんたちとしゃべってて、自然とうつったんですが、今はなまってる方が素直に気持ちを伝えられるから」と答えたアキ。その後に作中で起きた出来事を考えると、彼女にとって本当に大切なものが何なのかを予感させる脚本の妙に、ゾクッとするシーンでした。

■言葉が自然に入ってくれば、効果倍増

鈴木亮平の主演で、西郷隆盛の熱き生きざまを描く大河ドラマ「西郷どん」は、今年1月のスタート当初、登場人物たちの話す薩摩ことばが“難しい”“何を言っているかわからない”などとネットで話題になりました。

大河ドラマのような歴史ドラマの場合、史実や当時の生活習慣をどこまで厳密に描くかと並び、その時代・地域の言葉をどこまで忠実に再現するかも、難しい判断が求めらます。

「西郷どん」で薩摩ことばの指導を担当している俳優の迫田孝也と田上晃吉の二人は、毎日新聞のインタビューに「(昔の薩摩ことばを10としたら)いま僕たちがしゃべっている鹿児島弁は(濃さとして)2割くらい、『西郷どん』は5割いかないくらい」と答えています。方言指導で一番難しいのは、時代や地域で微妙に違う方言を、ドラマの中で「一定のレベルにそろえること」と話していました。難しい方言も、俳優の生きた言葉として一定のルールや使い方で話されると、その言葉が徐々に耳に慣れていくのだそうです。

第10回「篤姫はどこへ」(3月11日放送)では、江戸の薩摩藩邸で将軍家に輿(こし)入れするため勉強中の篤姫(北川景子)の部屋に、薩摩ことばを江戸ことばに書き換えた半紙があちこち貼られている場面があり、ちょっと笑いを誘いました。

「×まっこて ◯まことに」
「×あいがとさげもした ◯かたじけなし」
「×何それを食べもすか ◯何それを食べますか」

などと書き出された様子は、視聴者に向けた薩摩ことばの手引き書に見えなくもありません。

英語やドイツ語など、語学に堪能な鈴木亮平が「普段のセリフ覚えの10倍の時間がかかる」という今回の西郷役。薩摩ことばが耳に心地よく、自然に体に入ってきたとき、私たちも豪快な西郷の人生を堪能できるのかもしれません。

(文/岸田キチロー)

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