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ドキュメンタリーか、グルメ番組なのか?マフィアや元少女兵の食卓拝見!

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ドキュメンタリーか、グルメ番組なのか?マフィアや元少女兵の食卓拝見!

テレビ東京HPより

2017年10月にテレビ東京系で突如2週連続で深夜に放送され、あまりにもエッジの効き過ぎた内容にネット界隈をざわつかせた番組があります。その番組の名前は「ハイパーハードボイルドグルメリポート」です。

番組の公式ホームページによると、“ヤバい人たちのヤバい飯を通して、ヤバい世界のリアルを見る番組”をテーマにしたグルメ番組だったようです。放送中にはグルメ番組の定義を疑いたくなるほど、度肝を抜く衝撃的な映像が次々と登場していました。

■リベリアの元少女兵や台湾マフィア、その食事風景とは?

この番組は椅子が置いてあるだけのシンプルなスタジオに、MCの小籔千豊が登場するところから始まります。何も知らされていない様子の小籔は椅子に座らされ、番組ディレクターの指示でVTRを視聴します。

最初に映し出されたのは、度重なる内戦やエボラ出血熱の流行で、低迷する経済下にある西アフリカのリベリア共和国。カメラ片手に単身で現地に降り立ったディレクターは、さまざまな取材の末に出会った、娼婦として日銭を稼ぐ元少女兵の食事の様子に密着します。

夜の道に立って男たちに声をかけ続け、やっととった客1人分の売上金のほぼ全額支払って、その日初めての食事をとる女性。照明が一切ない真っ暗なレストランの中で、山盛りの米とジャガイモの葉カレーをほおばる彼女の姿を、小籔は感慨深く見守ります。

続いて紹介したのは、台湾マフィアのボスたちによる会食の模様です。テーブルに並ぶのは、わらじと見紛うような大きさのフカヒレスープなど贅沢な食事の数々。ボスや同席した関係者たちが日本で入れた入れ墨を次々と披露するなど、まるでドラマや映画のような情景が映し出されていました。

■ロサンゼルスに暗躍するギャングたち、その食事の裏に隠された人生ドラマ

2週目の放送では、アメリカ・ロサンゼルスを根城にする2つのギャングたちが登場しました。週に1度は殺人事件が起きるほど、危険な地域で抗争を繰り広げる、メキシコ系ギャングと黒人系ギャングのそれぞれに潜入取材を試みます。

撮影クルーは最初にメキシコ系ギャングのメンバーの自宅を訪れます。ガレージで黒人ギャングから銃撃を受けた話を聞いたり、ロシア製の自動小銃AK47を見せてもらったりと、思わず身を縮めてしまうような衝撃の映像が続きました。その一方でカメラはサボテンにライムと唐辛子をかけて食べるおやつをはじめ、唐辛子を振りかけたビール、ナチョスなど彼らのルーツを感じさせる食事を映像に収めています。

その後、撮影クルーは敵対する黒人系ギャングの元へ。出所したばかりの現役メンバーが、別居中の妻と3人の子どもの自宅へ訪れる様子に密着し、妻との確執やギャングに属するがゆえの苦悩をカメラは追いかけます。居場所のないギャングの子どもたちに食事の世話をする地域のおばあちゃんお手製のピラフやフライドチキン、別居中の妻が作ったミートボールシチューといったアメリカの家庭料理が登場し、取材中いつ襲撃されるかわからない緊迫した空気をほっと緩ませてくれました。

あまりにも深い人間模様の連続に、思わず小籔も「こんな考えさせる番組とは思わなかった」と番組の最後につぶやいています。

■“食事”を媒介に世界と繋がり、人生を追体験していく

番組に登場する人物の多くは、いわゆる悪人とよばれる人たちです。日本に住む私たちの生活とあまりにもかけ離れすぎていて、無縁の世界だと感じてしまいがちですが、番組はそんな彼らの食事風景を追いかけます。美味しそうに食事を頬張り、一日の楽しみとして食事に癒されている姿は、私たちと何ら変わりません。食事という行為にフォーカスすることで、視聴者は一気に彼らを身近に感じることができます。

“同じ釜の飯を食う仲間”という言葉がありますが、番組では通常でははばかれるような大胆な質問をぶつけたり、彼らが本音をこぼしたりすることもありました。食事をともにしたおかげで距離が縮まったのかもしれません。

台湾マフィアのボスに「人を殺したことがありますか?」と質問したときは、「ネットで調べてよ」とユーモアと余裕たっぷりの返事を返されます。メキシコ系ギャングと黒人ギャングの回は、別々に取材したにもかかわらず両者ともに生まれた街にはびこる憎しみの連鎖と、ギャングという抗えない宿命への葛藤を語っている姿が印象的でした。

たかが食事、されど食事。彼らの食事風景を通して、人と人をつなぎ、心をほぐしていく食のもつ力を感じることができます。

紹介される食事のほとんどは庶民的なものばかりなのに、なぜかとても美味しそうに見えてきます。番組が終わる頃には、思わずお腹が空いてしまいました。やはりこれはグルメ番組と言えそうです。続編の放送は未定だそうですが、ぜひ新たなヤバい食事の登場を期待したいですね。

(文/玉手葉子@H14)

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