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菅田将暉は狂っている演技が一番美しい!?

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菅田将暉は狂っている演技が一番美しい!?

2月21日に26歳の誕生日を迎えた、人気若手俳優の菅田将暉。

これまでシリアスな文芸作品からコメディーまで様々な役柄を演じてきた菅田だが、今夜最終回を迎えるドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日本テレビ系)で演じる美術教師役のサイコパス的な演技が注目を集めている。

■「3年A組」で見せる狂気と“陽”のイメージのギャップ


菅田が演じているのは、卒業を控えた3年A組の生徒29人を人質に学校に立てこもる担任教師・柊一颯。

一部の生徒たちを殺したように見せかけるなどして生徒たちを精神的に追い込み、時に狂ったように哄笑し、“命がけの教育”を行う鬼気迫る演技に、SNSには「狂気じみてる」「素で泣けそう」といった感想が並んだ。

特に6話で福原遥演じる生徒・水越涼音の胸倉をつかんでドアに叩きつけ、「お前たちはもう感情に任せて過ちを犯せる年じゃないんだよ。それが許される年じゃないんだよ!」と説いたシーンについて、SNSでは「あんな怖い壁ドンってあるんだ」「(生徒は)ガチ泣きでは」などと話題に。

涼音は確かにそう説教されても仕方のない軽率な行動を取ってしまったのだが、あまりの気迫に福原に同情を寄せる者も少なくなかった。

菅田といえば、現在NHKで放送中の朝ドラ「まんぷく」では、シャイで頼りなげな風貌でありながら強い正義感を持つ優秀な弁護士・東太一役を、2018年のドラマ「dele」 (テレビ朝日系)では素直で無邪気に見えて壮絶な過去を持つ真柴祐太郎役を演じたことが記憶に新しい。

それまでもドラマ「民王」(2015年・テレビ朝日系)で、遠藤憲一演じる総理大臣と中身が入れ替わる息子役、映画『海月姫』(2014年)で女装した美青年役を演じるなど、作品ごとに全く違う表情を見せている。だが、共通するのはどこか温かみや人懐っこさを感じさせる“陽”のイメージがあること。

それだけに今回「3年A組」で見せる破滅的なキャラクターのインパクトは大きく、視聴者は良い意味での裏切りに引き込まれている様子だ。

■狂気こそ菅田将暉の本領?


その一方で、コアなファンの声を調べてみると「菅田くんから破滅的な狂気と闇属性の色気は切り離せない」「残酷な一面さえ美しく見える」といったコメントが少なくない。

平成仮面ライダーシリーズ「仮面ライダーW」(2009年・テレビ朝日系)でデビューした菅田が、本格的に俳優として頭角を現したのは主演映画『共喰い』(2013年)だった。

同作は田中慎弥の第146回芥川賞受賞作の同名小説が原作で、菅田は暴力的な性癖を持つ父を憎みつつ、自分にも同じ血が流れていることに苦しむ17歳の高校生・遠馬を演じた。

リアルな性描写にも挑んだこの作品で、菅田は第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

菅田は当時の舞台挨拶で熱く語っている。「胸を張って“転機”と言える作品。これからもっと頑張ろう、という思いが詰まっている作品であり10代最後の夏、全身全霊で演じた」

19歳の菅田が人間の奥底に潜む深い闇に挑んだ同作品を、青山真治監督は「目を背けたくなるくらい、美しい菅田将暉が映っています」と評している。

10代の美しさや危うさを描いた作品として、小松菜奈とW主演した映画『溺れるナイフ』(2016年)も印象深い。

同作では、傲慢で気性が激しく、自由奔放な少年・コウこと長谷川航一朗を神秘的に演じた。全能感にあふれる少年と少女が激しく惹かれあう姿や、ある事件をきっかけに絆がもろくも壊されてしまう儚さ、再び輝きを取り戻そうともがく2人の姿は鮮烈だ。

暴力性と純粋さを併せ持つコウはどこか透明感があり、痛みを伴う青春の美しさと残酷さを体現している。

一つの作品の中でも光と闇、暴力性と純粋さなど、人間の多面性を表現できるのが菅田の一番の強みなのかもしれない。

そんな菅田だからこそ、ドラマ「3年A組」でも今後さらに見せたことのない一面を見せてくれるのではないかという期待が高まる。

生徒の死の真相解明に向けて、また破滅的な主人公がどのような道を進んでゆくのか、最後まで目が離せない。

(文/室井 二胡)

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