コラム

飯テロ×男性カップルで話題のドラマ「きのう何食べた?」

  • twitterTwitter
    でシェア
  • twitterFacebook
    でシェア
  • LINEで送るLINE
    でシェア

飯テロ×男性カップルで話題のドラマ「きのう何食べた?」

2019年4月にスタートしたある深夜ドラマが注目を集めている。テレビ東京系の「きのう何食べた?」だ。同ドラマはよしながふみ原作の同名漫画の実写化で、W主演を務めているのは西島秀俊と内野聖陽。人気も実力も兼ねる2人であることから、SNSでは「理想のキャスティング」「なんてご褒美」と歓迎する声が飛び交っている。

原作「きのう何食べた?」は男性同士のカップルの日常を描く料理漫画だ。

■「おっさんずラブ」に続く?ゲイカップルの日々の暮らし


西島秀俊が演じるのは、几帳面で料理好きな弁護士・筧史朗。一方の内野聖陽は史朗の恋人で人当たりのいい美容師の矢吹賢二を演じる。主人公2人が男性同士のカップルという設定のため、思わず昨年の大ヒットドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)を連想しそうになるが、「きのう何食べた?」のテーマは、恋に落ちるまでのドラマチックな過程ではなく、パートナーと暮らす穏やかな日々だ。

全体的にほのぼのとしたストーリー運びだが、ゲイが抱える苦悩や、主人公らが仕事を通して垣間見る人々の悲哀やおかしさ、たくましさが滋味深い筆致で描かれている。

西島、内野がそれぞれ、オープンにはしないもののパートナーへの深い想いを感じさせる史朗のキャラクターや、愛嬌があって一途な賢二の可愛らしさをどのように演じるのか期待が高まる。いや、この大物俳優2人を起用した時点で本気度が伝わってくるので、「期待」どころかすでに「信頼できる」レベルで間違いないと個人的には思う。

特に、NHK大河ドラマ「真田丸」(2016年)でこれまでになく人間臭くてチャーミングな徳川家康像を作り上げた内野ならば、とてつもなく愛らしい中年男性を演じてくれるのではないだろうか。そして「もともと、原作の大ファンだった」と話す西島なら、原作ファンもうならせるような史朗と出会わせてくれるはずだ。

■“飯テロ”ドラマで評価の高い「ドラマ24」枠


そして忘れてはならないのが、この作品のもう一つの主役は「料理」であるということ。仕事から帰って手際よく冷蔵庫にあるもので作られる夕ご飯のなんとおいしそうなことか。その温かさ、食卓を囲む幸せが表現されれば、このドラマは間違いなく深夜の“飯テロ”ドラマとなるだろう。

同ドラマが放送されるのは、テレ東の「ドラマ24」枠なのだが、この枠はこれまでに松重豊主演の「孤独のグルメ」シリーズ(2012年~)や高畑充希主演の「忘却のサチコ」(2018年)など、話題のグルメドラマを生み出してきた。

海外にも多くのファンを持つ「孤独のグルメ」は、“飯テロ”ドラマの筆頭といえるだろう。松重演じる井之頭五郎が心の中で独りごちつつ、ただおいしそうにごはんを食べるという非常にシンプルな作りで、料理に関する蘊蓄も過剰な演出もない。オープニングで流れる「誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒し」という言葉通り、静かに食事を楽しむ姿が純粋な喜びや自由を感じさせてくれてくれるのが人気の秘密なのかもしれない。

「きのう何食べた?」でも、史朗や賢二ら中年男性が心の中でいろいろと呟きながら、淡々と手際よく料理するシーンが多いが、その辺りは「孤独のグルメ」と共通するものを感じる。そして2人が作り上げるのは、何も特別なものではなく、安上がりでもおいしい、実用的な料理ばかりだ。声高に叫ぶでもなく、押しつけがましくなく、ただ2人の暮らしを大切に生きる姿は、きっと多くの人の共感を呼ぶに違いない。

原作者のよしながふみも「『実写なんだし、何もこんなに似せなくても……』と思うぐらい、そっくりです! 本当にびっくりしました! すっごく楽しみです!」と放送前に興奮したコメントを寄せた「きのう何食べた?」。名作料理漫画がどのように料理されているのか、是非チェックしよう。

(文/室井 二胡)

関連記事