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バブル期の“金妻”が進化した平成の『あなたには帰る家がある』

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バブル期の“金妻”が進化した平成の『あなたには帰る家がある』

かつてTBSには、“金妻”と呼ばれた人気ドラマシリーズがあった。
正式タイトルは『金曜日の妻たち』。団塊世代の核家族間交流のみにフォーカスしたことが斬新だった。
今回の『あなたには帰る家がある』は2018年版の“金妻”、100人の女性にリサーチした赤裸々な“夫婦あるある”ネタで“大人の金曜ドラマ”を制作している点が新しい。
平成ならではの“妻のホンネと夫の秘密”の物語。果たしてどんな出来上がりになっているだろうか。

■かつての“金妻”

1983年に放送された第1シリーズ。多摩地区の高級住宅街が舞台で、テラスハウスはこの番組で一躍脚光を浴びるようになった。
第2シリーズは翌84年の放送。新興住宅地に越してきた元恋人同士の男女が、まわりの人々を巻き込んで展開する物語だった。
そして第3シリーズは85年の放送。主人公たちが一人の家のパティオに集まり飲んで歓談するシーンがたくさん放映され、パティオのある家が人気となった。

第1シリーズの平均視聴率は15.9%、第2は17.9%、第3が17.2%と決して華々しい数字とは言えない。それでも日本のバブル景気の入口で、新しい生き方やライフスタイルを広めたドラマとして、多くの人々の記憶に残る名作となった。

■平成の“金妻”

それから30年以上が経過し、今や団塊の世代は高齢者なっているが、段階ジュニア世代以下の今を描くべく、平成の“金妻”が始まる。

佐藤真弓(中谷美紀)は結婚13年目の専業主婦。
住宅販売会社で働く夫・秀明(玉木宏)と受験戦争を終え、見事名門中学に合格した娘・麗奈(桜田ひより)の3人家族だ。
少々雑な性格の真由美と対照的なのが秀明。畳んだシャツの皺や冷蔵庫にある食品の賞味期限が気になってしまう。共通の友人・圭介(駿河太郎)の営むカレーカフェで、相手への愚痴をこぼす日々だ。
麗奈の中学入学式の帰り道、真弓はかつて旅行代理店で働いていた時の同期・由紀(笛木優子)に偶然再会し、職場復帰を勧められる。

一方秀明は、モデルハウスを訪れた茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)の接客にあたっていた。秀明が建て替えを進めるも、太郎は横柄な態度で応じ、なかなか一筋縄ではいかない。
その夜、再就職に誘われたことを秀明に話す真弓は「無理だ」と言わんばかりの秀明の態度に反発し、思わず職場復帰を決めてしまう。

後日茄子田家を訪問し営業する秀明だったが、またもや太郎からぞんざいに扱われてしまう。その帰りがけ、妻の綾子に呼び止められる秀明。夫の無礼を詫び、秀明を気遣う綾子の健気さに思わず心を奪われてしまう。
そんなこととは露知らず、張り切って職場復帰を果たす真弓だったが、働く環境がすっかり変わっていて、予想外の苦戦を強いられてしまう。年下の社員で指導係の小島希望(ドリンドル玲奈)からはお荷物扱いされた挙句、大きなミスまで犯してしまう。落ち込んで帰宅した真弓は、家事に非協力的な秀明と口論になってしまった。
二組の夫婦に見えない亀裂がすこしずつ走り始めて行く。

なるほどプロットを見ると、『あなたには帰る家がある』は“金妻”的要素に満ち溢れている。
そもそも“落ちてはいけない恋”を軸に物語が展開するあたりは、80年代の“金妻”と同じで、見る側は“ハラハラドキドキ感”を満喫できるだろう。
しかし『あなたには帰る家がある』というタイトルから推測できるように、「夫婦の絆」は脆いが、危機に瀕することで“かけがえのないもの”と再認識する物語になっているのだろう。右肩上がりのバブル期と違って、縮小均衡の恐れもある平成ならではの倫理観と言えよう。
しかも100人超の女性に「オンナの本音」をリサーチし、クスっと笑える“あるある”が満載だという。前クール『99.9』や『アンナチュラル』もそうだったが、剛速球に緩い変化球をまぶすあたり、気楽に見られるようなサービス精神もあるようだ。
80年代のヒット、誰もが共感できる結婚数年のカップルの心情、そして“あるある”ネタ満載というテイスト。どこまで上質なエンターテインメントに仕上がっているのか、楽しみにしたい。

文:次世代メディア研究所 http://jisedai-media.main.jp/

『あなたには帰る家がある』TBS 毎週金曜よる10時~
http://www.tbs.co.jp/anaie/


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