コラム

名セリフが予言する“崩壊”! ~広瀬すず×田中裕子『anone』大詰めへ~

  • twitterTwitter
    でシェア
  • twitterFacebook
    でシェア
  • LINEで送るLINE
    でシェア

名セリフが予言する“崩壊”! ~広瀬すず×田中裕子『anone』大詰めへ~

名言が次々に出て来る『anone』。
ハリカ(広瀬すず)・亜乃音(田中裕子)・持本舵(阿部サダヲ)・青羽るい子(小林聡美)らの奇妙な交流を描くドラマだ。
弱者への温かい眼差しが特徴だが、ストーリーを彩る名言の数々も話題になって来た。ところが名セリフの数々の中で、一つだけ二回登場したものがある。
その登場前後の文脈から、同ドラマの今後が占える。

■名セリフの数々

そもそも初回冒頭に登場する医師は、名言を交えて病状を患者に説明した。
「止まない雨はありませんよ。夜明け前が一番暗いんです・・・・ま、余命的にはあと半年ほどになりますかね」
宣告された舵(阿部サダヲ)の口からも、名言が飛び出した。
「雨はやんでもまた降る」「努力は裏切りますけど、諦めは裏切りませんから」
“余命幾ばくも無い”状況への、やるせなさを表したセリフだ。
「死にたい、死にたいって言ってないと、生きられないからですよね。生きたいから言うんですよね」
同時に舵には、他者を思いやる優しさや繊細さもある。

「大丈夫って2回言ったら大丈夫じゃない」
「大切な思い出って、支えになるし、お守りになるし、居場所になるんだなあって思います」
主人公のハリカには、生い立ちの特殊性ゆえには、印象に残る言葉が多い。

「愛されてたって、愛してくれなかった人のほうが心に残るもんね。人は手に入ったものじゃなくて、手に入らなかったもので出来てる」
ハリカを優しく受け止める林田亜乃音(田中裕子)は、娘・玲(江口のりこ)に家出された絶望感を抱えていた。そんな亜乃音に、ハリカが心の支えになり始めていた。
かつて「親から愛された記憶がない子って、人を愛することができない」と言われたことがあるハリカ。ところが「愛された記憶があるから愛せる。亜乃音さんの愛情、ちゃんと玲ちゃんに届いたから、自分の子供も愛せてる」と言葉をかける優しさがあるからだ。

■再登場した名セリフ

他にも多くの名言がドラマには出て来るが、その中で唯一二度出て来たセリフがある。
厳しい生活の中で、ハリカが唯一の楽しみにしているカノン=紙野彦星(清水尋也)とのチャットでの言葉だった。
「大切な思い出って、支えになるし、お守りになるし、居場所になるんだなあって思います」
初回でこの思い出は、実は辛すぎてハリカが事実を反転させた“偽りの思い出”だったことが露呈する。ちょっとしたことがきっかけで、長く封印してきた事実に気づいてしまったハリカ。初対面だったにも関わらず、亜乃音は遠慮がちだが温かい言葉でハリカ包み込んだ。
「誰だって、過去に置いてきたい自分っています。今さらもう、過去の自分は助けてあげられない。せめて今を…」
初回で“大切な思い出”は、ハリカ自らの手で粉々に壊されていた。亜乃音に渡された石を施設の窓ガラスに投げつける行為によってだった。

第7話では、今度はハリカが亜乃音に対してこういう。
「大切な思い出って、支えになると思う。お守りになると思う。居場所になると思う」
初回で彦星くんに発した言葉とほぼ同じだ。
娘の玲が小さかった頃の楽しい思い出を語る亜乃音に対して掛けた言葉だった。亜乃音と玲の関係は壊れていた。そして亜乃音はハリカとの間で、今回のセリフのやりとりを通じで、親子のような関係を固めて行き、“大切な思い出”を作り始めていた。
ところが初回では、このセリフの後で“大切な思い出”は崩壊していた。

■大詰めへ

亜乃音の不審な行動を目にした弁護士・万平(火野正平)は、次第にハリカたち四人の計画に気づき始めていた。そうとは知らず、ニセ千円札に成功した四人は、理市(瑛太)の主導で一万円札作りに取り掛かる。
一方ハリカと彦星との関係にも、茉歩(藤井武美)が登場し、状況が変わり始める。亜乃音の娘・玲は、亜乃音の真意を知らないまま、誤解から亜乃音につらく当たる。
そしてニセ一万円札が完成し、いよいよ試す時を迎える・・・。

支えになり、お守りになり、居場所になり始めた四人の生活。特に亜乃音とハリカの母娘のような関係。ニセモノなのにホンモノ以上に人間愛に満ちた“大切な思い出”が、現実の中でどう“崩壊”してしまうのか。いよいよ目が離せなくなってきた。

文責:次世代メディア研究所  http://jisedai-media.main.jp/

『anone』日本テレビ 毎週水曜よる10時~
https://www.ntv.co.jp/anone/


関連記事