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上野樹里が結婚後初の連ドラで見せる意外な(?)表情

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上野樹里が結婚後初の連ドラで見せる意外な(?)表情

2018年7月期、視聴率1ケタ台が続いていたフジテレビ系ドラマ枠「木曜劇場」に異変が起きました。山﨑賢人が主演する「グッド・ドクター」が、視聴率10%から12%へと右肩上がりの好成績。同枠にとって、まさに救世主となったのです。
そこで改めて注目されたのが、結婚後、初の連ドラ出演となる上野樹里でした。かつての際立つような個性が影を潜め、驚くほど柔和な印象まで与えた彼女の変貌ぶりに、いったい何が……と思われた方も多いのではないでしょうか。

■ドラマではオーバースペックだった憑依型女優・上野樹里

上野樹里のドラマ作品といえば、かつての「のだめカンタービレ」や「ラスト・フレンズ」(いずれもフジテレビ系)を思い起こす方も多いでしょう。とりわけ「のだめカンタービレ」で演じた“のだめ”こと野田恵役は、まさにハマリ役でした。
演奏も、行動も、思考も、日常生活のすべてが超自己流だった“のだめ”。その突拍子もない奔放さは、上野樹里を象徴するかのように受け止められたものです。

それこそ飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼女を追いかけて、当時の収録現場には筆者も含め、取材が殺到していました。が、彼女は取材陣に愛想をふりまくこともなく、現場から一歩も離れない日々……。

通常の収録現場では、ほとんどの女優が何かしら現場から出入りします。リハ〜本番と、それ以外のオン&オフを明確に分けるタイプの俳優が多いのですが、行動パターンが異なる彼女の場合は、絶えずオン状態。おかげで取材陣は近づくこともできず、コメントはおろか写真撮影にも一苦労。後に“憑依型女優”ともいわれたように、役作りに没頭するあまり、他のことに目を向けられなかったのでしょう。

見方によっては、とても不器用だったのかもしれません。映画監督には同じようなタイプの方が多いためか、映画での彼女は、傍から見ても光り輝く女優でした。が、個性や癖の強い演技よりも一般的なニーズが求められるドラマでは、やや浮いた存在だった感も否めません。ドラマでの女優・上野樹里は、ある意味、オーバースペックだったわけです。

■わかりやすい感動作だからこそ見えてくる優しさ

さて、話題を最新作「グッド・ドクター」に戻しましょう。
この作品の好調さの理由の一つには、設定や構成のわかりやすさがあると思います。感動しやすく、泣ける展開へのスイッチが、誰にでもわかるタイミングでオン&オフされるのです。「この展開は泣けそう……」と思ったところでスイッチが入るため、感動が一気に押し寄せて……。
近年のヒット作に見られる、フラグが数多く立つ難解な設定や、急展開をもたらすシビアさとは、真逆の作り方かもしれません。次の展開は誰もが予測できるのに、その通りにハマッてしまう。ちょっと悔しく感じる方がいるかもしれませんが、流れに身を任せられる安楽さは、素直な感動にもつながるのです。

では、女優・上野樹里という視点から見るとどうでしょう。
実は彼女の出演作に、これほどわかりやすい感動作はほとんどありません。個性派女優・上野樹里を活かすためには、ひとクセもふたクセもある作風でないと……。そんな強迫観念が、業界内外にあったようにも思えます。

そう、冒頭で“彼女の変貌ぶり”と書きましたが、彼女自身は何も変わっていないのです。素直でわかりやすい感動作を演じれば、憑依型女優・上野樹里もまた、とても優しく穏やかな女性になるだけなのです。
ただ、そうした上野樹里を見る機会が少なかったため、驚くほど変貌したように感じてしまうのかもしれません。

■「グッド・ドクター」瀬戸夏美役は素に近い上野樹里?

主人公・新堂湊(山﨑賢人)に接する小児科医・瀬戸夏美(上野樹里)は、ある意味、素の彼女に近いキャラクターなのかもしれません。
などといえば驚かれそうですが、例えばインタビューでも、こちらが真摯に向き合い、役柄と演技に素直な意見をぶつければ、彼女はそれにきちんと応えてくれます。驚くほど真面目に、真剣な答えを返してくれる様に、恐縮してしまったことも一度や二度ではありません。その姿が、新堂湊に接する瀬戸夏美と被って見えるのです。

作品と演じるキャラクター次第で、自身の個性まで変えてしまう天性の女優・上野樹里。自ら「演じていて楽しい」と語る「グッド・ドクター」は、彼女の愛しさが垣間見える、新たな代表作と言っても良いのではないでしょうか。

(文/藤井淳@アドバンスワークス)

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