コラム

マツコが「ランキング番組を殺す!」ってホント?

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「さーて、今週の第1位は?」
昔はわくわく、ドキドキしながらテレビにかじりつくように見ていたランキング番組が、今、絶滅の危機に瀕している。

今の中高生たちはピンとこないかもしれないが、昔はランキング形式の音楽番組が絶大な人気を誇っていた。「ザ・ベストテン」(TBS:1978~1989)、「THE夜もヒッパレ」(日テレ:1995~2002)、「速報!歌の大辞テン」(日テレ:1996~2005)など、1時間かけてシングルチャートTOP10を紹介する番組が世を席巻していた。
CDセールスの衰退とともに音楽番組は減少していったが、バラエティではランキング番組の人気は根強かった。「お試しかっ!」(テレ朝)ではお店の人気商品ランキングTOP10を当てるまで帰れないという企画「帰れま10」が大ヒット。一時期女子高生がファミレスで真似するほどのブームになったが、次第に支持を失い、約7年間の放送を持って2015年1月に番組は終了した。

以降もランキング番組は低迷が続いている。2015年4月からは「世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?」がTBS系列で夜8時より放送。しかし、1年も持たずに同年12月に終了した。同様に、現在日テレ系列にて夜7時56分より放送されている「なんでもワールドランキング ネプ&イモトの世界番付」も、今月18日に最終回を迎えることが決定している。

対照的に人気を博している番組がある。「マツコの知らない世界」(TBS)だ。
あらゆるジャンルの専門家とマツコがトークを繰り広げるこの番組。15日の2時間スペシャルでは、「マツコの知らない純喫茶グルメの世界」など計3本のテーマが放送された。
前述のテーマでは、全国1,500店舗以上の喫茶店を巡ったOL・難波里奈さんらがオススメの喫茶店やトーストなどを紹介。マツコが試食したり、時に鋭く突っ込みを入れたりして番組は進行した。
従前のランキング番組であれば、例えば「100人に聞いた好きな喫茶店ランキング」を流すのであろうが、あえて異なるスタイルをとることで高視聴率を得ている。つまり視聴者は、「100人」の意見より、「1人の専門家とマツコ」のトークを聞きたがっているのだ。

この大きな要因はマツコ・デラックスだろう。
もし専門家がただ単に好きな喫茶店をオススメするだけだとしたら、視聴者は好みを押し付けられたように感じるかもしれない。しかしマツコは「これはほんとに美味しい」、あるいは「ここは喫茶店とは言えないでしょ、カフェでしょ」など、いつも正直な意見を言ってくれる。このコメントが抜群の庶民感覚を持ち合わせているため、私たちは「マツコが言うなら間違いない」と感じてしまうのだ。

同様の手法を用いている番組に、「マツコ&有吉の怒り新党」(テレ朝)がある。人気コーナー「新・3大○○調査会」では、あるテーマに対し、その分野の有識者が独断と偏見で3大○○を決定している。これも本来であれば「みんな」の意見を集約しランキング形式でトップ3を示してもよいのだが、マツコや有吉といった庶民感覚に優れたタレントのコメントがあれば、「みんな」の意見は必要ないということであろう。

抜群の庶民感覚、と一言で片付けてしまったが、これを持ち合わせるのはかなり難易度が高いことだと思う。例えば味覚一つをとっても、好みや個人差がとても大きいため、「みんな」が美味しいと感じるものを、同じく美味しいと感じることは非常に難しい。しかし番組を見ると、マツコは外見が「みんな」と大きくかけ離れている代わりに、感覚は「みんな」とかなり近いものを持っているようだ。今や売れっ子タレントだが、この庶民感覚を忘れない限り、マツコの躍進は続くだろう。

(一般社団法人日本味覚協会 代表 水野考貴)

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