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ヤラセは一切ナシ!?「林先生が驚く初耳学」に出演して驚いた番組の裏事情

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ヤラセは一切ナシ!?「林先生が驚く初耳学」に出演して驚いた番組の裏事情

7日(日)夜10時よりTBS系列にて放送された「林先生が驚く初耳学」。
世間ではあまり知られていない情報や話題(初耳ネタ)を著名人や視聴者から募集し、博学で有名な林先生に抜き打ちで出題する形式の人気番組だ。

この日は「機内食は地上で食べると味が違う」、「みかんは焼くと美容効果がアップする」など計8問出題されたが、そのうち3問は林先生が知っており、パーフェクトに解説していた。

先述の「みかんは焼くと美容効果がアップする」は林先生が知っていた問題の1つだが、理由まで完全に解説してしまうところが先生のすごいところだ。「βクリプトキサンチン」という専門家しか知らないであろう単語を駆使して解説するところを見て、私の家族は「ヤラセじゃないの!?」と感想を漏らしていた。

同じような考えの方は多いのではないだろうか。
実は私も同じ考えの持ち主の1人だったが、このたび、番組に携わらせて頂き裏事情を垣間見ることができたので、お伝えさせて頂きたい。

オンエアの2週間ほど前、私は「機内食は地上で食べると味が違う」という出題に関する解説VTRを撮影するため、番組を制作している毎日放送を訪れた。日本味覚協会代表という立場での意見を求められたのだ。

打ち合わせの冒頭で、私はディレクターにこう質問した。
「林先生はこの問題の答え、知ってるんですか?」
答えを教える、というヤラセはないにしても、当然、下打ち合わせの段階で、「この問題を出しますので知っているか知らないかを教えてください」程度の情報共有はしているはずだと思ったのだ。

しかし、ディレクターは「知らないんです」と言う。
「スタジオ収録当日にならないとわかりません。ですので、もし林先生が答えを完璧に解説してしまったら、このVTRは流れないことになりますのでご了承ください」と。

私はとても驚いた。もし林先生が知っていたら、この撮影の時間やその他事前に準備したVTRがまるまる無駄になってしまうのだ。番組制作費のコストカットが叫ばれる昨今、こんな無駄なことが認められているのか、と衝撃的であった。

実際に私が解説したVTRについても、事前に15分ほどかけて撮影したものの、林先生がスタジオで半分程度答えてしまったこともあり、オンエアで流れたのはほんの数秒であった。

しかし、番組を見ると、人気の秘訣はこの「無駄」のおかげだと感じる。林先生の「ガチ感」は視聴者に確かに伝わっているのだ。
番組内でもロンブー淳が「悔しがり方が芸術の域ですね」と評していたが、解説を間違えたときの悔しがりようはとてもリアルで演技には到底思えない。このような点が視聴者を痛快な気分にさせるのであろう。

そもそも「ヤラセ」という言葉が一般化したのは1985年。テレビ朝日「アフタヌーンショー」においてディレクターが「何か面白いものをとりたい」と知り合いの暴走族に依頼して仲間内でリンチをさせるVTRを撮影したことが始まりと言われている。
しかしその後もヤラセは後を絶たない。「発掘!あるある大事典」、「ほこ×たて」での問題は記憶に新しく、「ヤラセ」は誰でも知っている言葉になってしまった。

この状況は反省すべきだ。失った信頼を取り戻すには十数年かける必要があるかもしれないが、この「初耳学」のように「ガチ感」を大切にした番組作りを継続すれば、必ず視聴者から評価を得るはずだ。
そして、今の子供達が大人になったとき、こんな言葉が聞こえていると良いなと思う。
「ヤラセって何?初耳!」

(by一般社団法人日本味覚協会 代表 水野考貴)

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